わが動的平衡とレジリエンスの思索日記

直腸がん、C型肝炎が完治し、これからが今までを決める、、という身の処し方を綴る
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夏の読書

還暦になって早々、来月、第二子が生まれる。
なので、身の回りをかたづけなければいけない。

さしあたりLPレコードと
放送大のテキストを半分ほど、廃棄した。

書棚に、岩波文庫の非売品の冊子が
目に留まった。「読書のすすめ 第四集」とある。

かたづけていると、勝ってに別のことに
とらわれてしまう、昔からの悪いクセだ。

冊子の中にあった坪内雄三「夏の読書」を
つい読んでしまい、少し高揚した気分になった。

自分にも思いあたる話だったからだ。

坪内氏は1958年生まれ、今年56歳。
世田谷の経堂の本屋「 レイクヨシカワ」を
素晴らしい本屋と讃える。知らない本屋だった。

結論は、
十代の時に読書と出会えるかいなかは、
本屋だとか図書館だとかといった環境に
左右されるところが多分にある、ということ。

そして、坪内氏は米国の作家バーナード マラマッド
(全く聞いたことがなかった作家だった、、)の短編で
「夏の読書」を紹介している。

早速、加島祥造 訳で「マラマッド短編集」を
読んでみた。

衝動的に高校を中退し、職にもつかずに
家にひきこもる若者が、近所の知り合いとの
対話で、「この夏はどうしている?」とたずね
られ、若者は背伸びして、やってもいないのに、

「この夏、100冊にリストアップされた本を
読書しようと思っている」と見栄をはる、、

そして、100冊くらい読み遂げれば、
「自分の教育の肥やしになると思うんです。
高校で受ける教育とは違った意味でですよ。
ぼくは、高校でうけるのとは違ったことを
知りたいんです。うまく説明できないけど」
と。

対話そのものが、若者の本音を引き出していくあたり、
わたしには、いたく思いあたった。ソクラテスの産婆術。

そういうやりとりがきっかけとなって、
不思議な変化が起きる。
ジョージに対する周囲の見る目がかわり、
若者の心が変わりはじめ、
そうして図書館に行き、
読書を開始する、、
短編の最後はこう結ばれる。

秋になったある夜、
ジョージは、家から駆け出て、
何年も行ったことのない図書館へ行った。
そこには、見まわす所どこを向いても、本がぎっしり
つまっていた。

そして胸の震えを押さえるのに骨折ったけれども、
彼は、百冊はらくにあるのを見切ると、それから
テーブルについて、読みはじめた。


華厳経に、心はさながら絵師のごとし、
とある。人は一瞬一瞬、人との対話で
ささやかなやりとりで、変わっていく。

その瞬間、その瞬間、どう振る舞うか、、

その若者は何かの縁に触れて、
読書のギアが入り、人生が変容する。

あえて言うなら、こうした変容は
還暦の身にも、起こることに違いない。

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