わが動的平衡とレジリエンスの思索日記

直腸がん、C型肝炎が完治し、これからが今までを決める、、という身の処し方を綴る
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アーサー・クラインマン「病いの語り」

1.新聞で、がんの5年生存率は62.1%に上がった書かれていた。部位別で、生存率が低いのは、1位 すい臓がん、2位 胆管が、3位 肺がん、だと知った。胆管がんが2位とは新鮮な驚きだった。

2,部屋の片付けをしているとアーサー・クラインマン「病いの語り」(誠信書房)の「第8章 大いなる願望と勝利〜慢性の病いへの対処」のコピーが出てきた。10頁ほどだか、読んだ記憶がない。章題が気に入ってコピーしたのかも。そこで、風呂に入りながら読んだ。

章題の次に、作家コンラッドの言葉をかかげる。
「希望すること、愛すること、、そして生を信じることを、若いときに学ばなかった者は不幸である!」

あっ、コンラッドは「勝利」という小説を書いていたから、インスパイアはあったかもしれない。

3.著者クラインマンは精神科医として、感覚麻痺、運動麻痺の患者たちの定期的なミーティングを開き、勇気や希望を声高に語るなか、年少の患者から「あんたが麻痺がどういうものか、何がわかるんだ」と怒りと悲しみが向けられ、著者自身どうしてよいか、わからなくなり、いつ日か治療的ニヒリズムに逃げ込んでしまった。

4.そんななか、慢性の病いをもつ人生を勝利であると呼べる人、パディ・エスポジストという名の、臨死患者のカウンセラーに出会う。パディは原因不明の進行性の心筋炎を患っていた。

5.パディには、ハンサムではないが、存在感があった。彼が部屋に現れると誰の目も彼に引き寄せられ、誰もみな気分がよくなった。暖かみと率直さと洗練された礼儀正しさがあり、深い心の穏やかさもあった。

とまあ、ベタ褒めなのだ。だが、わたしも、そういう存在感がある人を知っているので、想像できる。

6.著者はパディに、治療の悩み事を話した。すると、
①欲望が不幸の源泉であること
②喪失が超越の基礎であること。
③大いなる願望は、ささやかな人間の幸福のためだけに、燃やされるべき。友情や心の平穏や、人を助ける喜びや、勇気や、生きる支えとなるような意味の探求などのために、燃やされるべきだ、と。

そうしてパディは、著者が陥っている絶望状態や自分が遭遇している末期状態の今こそ、本当の意味を創り出すために不可欠なのだ、と語り、「ジョセフ コンラッドの本、読んだことありますか?」と著者に尋ねた。

コンラッドは、その人の勇気が試される状況に置かれた普通の人間を主人公にして、「ロードジム」「勝利」を書いたでしょ。どちらの主人公も、はじめは、私のように失敗しました。彼らは、青年のすべてを襲う、自分の能力についての表面的な恐れや自己同一性という問題を見抜けなかったために、失敗したのです。

彼らは、自分自身と、物事に対する自分自身の反応にとらわれ過ぎていたのです。主人公たちは、大いなる試練に躓き、その後、自分の意気地のなさがひどく恥ずかしくなって、逃げ出したのです。

彼らは、自分を他人に結びつけている責任を回避するために、逃げ出しました。

しかし彼らは、たとえ南太平洋に行っても、隠れることはできませんでした。それぞれの人生においてやむをえずに他人との新たな関係を築いたとき、試練はくり返されたのです。それらのきずな、それらの新しい関係は脅威にさらされました。

そして彼らはその難題に応じたのです。それは、私たち各自の大きな試練です。他人のためにつくし、それを通じて私たち自身をよりよくする試練なのです。それは私にしても同じでした。

私は、みじめにも、恥ずかしくも、自分の自己中心性ゆえに失敗しました。しかし、私にも第二のチャンスが訪れました。私の人生をある勝利へと変えるチャンスでした。

それはおそらく、成功というアメリカ人の大きな夢とは違うものでしょう。それを小さな成功と呼ぶことにしましょう。

こんなことを言っても信じてもらうそうもないけれど、私にその二番目のチャンスを与えたのは、この忌まわしい病いなのです。


わたしの、のこりの人生も、莞爾として、立ち向かうしかない。



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