わが動的平衡とレジリエンスの思索日記

直腸がん、C型肝炎が完治し、これからが今までを決める、、という身の処し方を綴る
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「神秘」は赤い服の若者

1.白石一文という1958年生まれの作家の「神秘」という小説を読んだ。発酵する情感もなく腹に落ちるような感動もない。語り口は悪くないのだが、最後はなんだがジグソーパズルがピッタリとはまるような予定調和の話。世の中は忘却の川がながれている。なのに、そんな記憶力をもった人たちが多くいるだろうか?リアリティに欠ける話しが繰り広げられる。この頃の直木賞作家ってこんな感じなのか、、神秘を標榜するなら、そっちじゃないだろう、と何度かつぶやいた。

2.神秘の所以は、末期の膵臓がんの主人公が超能力の女性を探し出し、その民間治療?の依頼をする話だったところにある。ただ肝心の膵臓がんの進行がどうなっていくのか語られず終わる。余命1年の宣告されても2年は生きている主人公。だが、膵臓がんの方々はこれを読んで、どう思われるだろう。

たぶん、ため置いた断想に物語をトレースしたので、全体の軸となる何かは曖昧なままなのだ。読み手側に、言葉にできない想念が立ち上がってこない。残るのはアフォリズムの散華、、

3.膵臓がんサバイバーの木下さんは、たぶん全く相手にしてないと思う。娘の名前の謂れで夫婦間に亀裂が入るものか?キリスト教の人が生まれ変わりを語るだろうか?とツッコミを入れたくなる。時代考証ならぬ、心理考証、思想考証が無茶苦茶なのだ。

4.わたしが年なのだろうが、もうこの作家の小説は避けよう。それでも、以下のように、なるほど、それはいえると付箋を貼った言葉を抜き書きしておきたい。
白石一文 「神秘」
129 要するにもう一人の自分がいるのだろう。正常細胞を生み出す自分とは別に、がん細胞を生み出しているもう一人の私がいるのだ。
255 直感の力、体験に基づく智慧の力だ。
268 何か大切な意味、いまはわからなくとも、いずれその意味を知るときが来るような気がした。
283 がんが治るというのは、がんから逃げおおせることではなく、がんのもう一つ別の顔を見つける現象なのではあるまいか?
416 眉間の中心と尾骶骨の先端に鋭い快感が生まれた。
525 私たちが単独の私として生きている瞬間などどこにもなく、どんなときでも私たちは、ただひたすら私たちの中の私として生きているだけなのだ。

5.最大の伏線となる話は、神戸の住吉駅で起きた奇怪な事件だ。小説の中で、以下のWikipediaの記事がそのまま転載している。それはこうだ、、
新快速飛び降り事件

2002年7月2日午前10時45分頃、当該駅ホームにて、約100km/hで通過中の新快速電車から赤い服を着た若い男がホームに飛び降り、その勢いからホーム端の鉄製フェンスに激突するも、何事も無かったように歩いて立ち去るという、単なる危険行為以上の不可解な事件が発生した。

問題の男は車両間の連結面にしがみついていて、そこから飛び降りたとおぼしい。男が歩き去る姿は現場で複数の利用客が目撃しており、新快速電車の乗客にも連結面にしがみつく男の姿を車内から目撃した者があった。更に男の激突したフェンスは衝撃を受け損傷を被っていたことから、男が住吉駅で列車飛び降りの挙に出たことは事実と見られている。兵庫県警は鉄道営業法違反で、改札から駅外に去ったらしい男の行方を探したが、2011年時点に至るまで男の消息は不明である。

人間が100km/h走行する列車にしがみついていて飛び降りた場合、その瞬間には列車の速度に近い慣性が身体に働いており、フェンスへの激突は通常であれば瞬間的な減速を伴って、飛び降りた者の身体に著しいダメージを与えることになる。そのような衝撃を受けた男が、即座に立ち上がって無事に歩き去ったという目撃情報は、通常ならあり得ないような事態であり、男の消息不明も伴って、奇怪な未解決事件となっている[8]。


6.新聞報道もあったので、実際に起きたのは間違いない。不思議なのは、2002年ならば駅構内の防犯用の監視カメラはあったはず。まして、赤い服をきた男なら目立つはずだ。おそらく、どこにも映っていないのだ。あるのは痕跡と目撃情報だけだ。わたしにはUFO遭遇なみの実話だと思えた。

7.次は、井上靖「化石」を読むつもり。そして森敦に戻ろう。



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