折れない心=レジリエンス日記「これからが今までを決める」1991年から25年にわたるC型肝炎と乾癬の闘病を、そして2010年の直腸がんをと、その三病を完治させた楽観主義者の自立ノート

身体「毎日1兆が生滅する60兆の細胞」の司令塔こそ、究極の主治医と見なして、アッパレ!100歳をめざし三病息災・健康長寿をもくろむ、具体の内部生命論です★
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小林秀雄が語る柳田國男の「山の人生」

1.小林秀雄の講演CDを聴いて、心に残る柳田國男の「山の人生」の話を以下に掲げたい。

柳田さんの話になったので、もう一つお話ししましょう。柳田さんに「山の人生」という本があります。山の中に生活する人の、いろいろな不思議な経験を書いている。その冒頭に、或る囚人の話が書かれている。それを読んでみます。

「今では記憶して居る者が、私の外には一人もあるまい。三十年あまり前、世間のひどく不景気であった年に、西美濃の山の中で炭を焼く五十ばかりの男が、子供を二人まで、鉞(まさかり)で斫(き)り殺したことがあった。

 女房はとくに死んで、あとには十三になる男の子が一人あった。そこへどうした事情であったか、同じ歳くらいの小娘を貰って来て、山の炭焼小屋で一緒に育てて居た。

其子たちの名前はもう私も忘れてしまった。何としても炭は売れず、何度里へ降りても、いつも一合の米も手に入らなかった。最後の日にも空手で戻って来て、飢えきって居る小さい者の顔を見るのがつらさに、すっと小屋の奥へ入って昼寝をしてしまった。

 眠がさめて見ると、小屋の口一ばいに夕日がさして居た。秋の未の事であったと謂う。二人の子供がその日当りの処にしゃがんで、頻(しき)りに何かして居るので、傍へ行って見たら一生懸命に仕事に使う大きな斧(おの)を磨いて居た。阿爺(おとう)、此(おれ)でわしたちを殺して呉れと謂ったそうである。

そうして入口の材木を枕にして、二人ながら仰向けに寝たそうである。それを見るとくらくらとして、前後の考も無く二人の首を打落してしまった。それで自分は死ぬことが出来なくて、やがて捕えられて牢に入れられた。

この親爺おやじがもう六十近くなってから、特赦を受けて世の中へ出てきたのである。そうしてそれからどうなったか、すぐにまた分らなくなってしまった。

私は仔細しさいあってただ一度、この一件書類を読んで見たことがあるが、今はすでにあの偉大なる人間苦の記録も、どこかの長持ながもちの底で蝕むしばみ朽ちつつあるであろう。」

 
「山の人生」は大正十四年に書かれているが、その当時の思い出が「故郷七十年」の中でも語られている。

明治三十五年から十余年間、柳田さんは法制局参事官の職にあって、囚人の特赦に関する事務を扱っていたが、この炭焼きの話は、扱った犯罪資料から得たもので、これほど心を動かされたものはなかったと言っている。「山に埋もれたる人生」を語ろうとして、計らずも、この話、彼に言わせれば、「偉大なる人間苦の記録」が思い出されたというわけだったのです。


2.大正14年は1925年であり、そこから30年前となると1895年頃の出来事であり、その被告人は事件当時50歳ばかりだったから10年ほど刑に服し、60歳くらいで、特赦により出所したとことになる。慟哭の殺人罪。さぞかし、その刑事裁判は多くの人々の涙が流れたことだろう。出所時の年齢は、今のわたしの年齢と同じ。その後、男はどうしたのだろう。山に帰り、長命をとげたのではないか?と想像している。

3.「山の人生」の「人生」に、わたしは目がいく。フランクルの「夜と霧」を読んでいて、、人生は一神教の「神」ほどではないにせよ、意味深い主語だとわかったからだ。たとえば、フランクルはこう言った

「終局において、人は人生の意味は何であるかを問うべきではない。むしろ自分が人生に問われていると理解すべきである。一言で言えば、すべての人は人生に問われているのだ。自分の人生の責任を引き受けることによってしか、その問いかけに答えることはできない」



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