わが動的平衡とレジリエンスの思索日記

直腸がん、C型肝炎が完治し、これからが今までを決める、、という身の処し方を綴る
TOP ≫ ARCHIVE ≫ 2007年08月
ARCHIVE ≫ 2007年08月
      

≪ 前月 |  2007年08月  | 翌月 ≫

HCV増殖の仕組みが解明

8月27日英科学雑誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に次の成果が発表されました。

下遠野邦忠京大名誉教授の研究グループ(分子生物学)が、HCV増殖の仕組みを解明した、という記事です。

研究グループは、HCVをヒトの肝臓に由来する培養細胞に感染させ、その様子を観察した結果、HCVの「コア」と呼ばれるたんぱく質の働きで、培養細胞内の脂肪を蓄えおく袋(油滴)が増加。この油滴にコアが結合して、感染性のあるHCV粒子の形成を助けていることが判明したのです。

以前から、HCVの感染者に脂肪肝が多いのも、HCVのコアが影響しているとみられていましたが、その詳細な流れが確認されたわけです。

ですので、C型肝炎で太めの方は、ダイエットに励まねばなりません。
ちなみに私は、自転車通勤を10ヶ月続け、10㌔近く減量に成功しており、脂肪肝になる可能性は低くなりました。


下遠野名誉教授は「コアと油滴との結合を阻めれば、HCVを抑制でき」新たな治療薬開発につながることが期待されると結論されています。

さて、ここからは私見です。

「培養細胞に感染させ」とあるように、C型肝炎ウィルスの感染性ウィルス粒子を人体以外で、培養細胞で作製することがすでにできるようになっていたことを知りませんでした。新鮮な驚き。

感染培養細胞の成果は、(財)東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所 脇田隆字副参事研究員らが、平成17年6月14日(日本時間午前4時)に米国科学雑誌「Nature Medicine (ネイチャー メディシン)」のオンライン版で発表されたものです。

その成果に基づき、これから一層、自由自在に研究が進むでしょうし、今回の「HCV増殖の仕組みの解明」は、まさにその典型的な成果ということなのでは、と思います。

それも平成17年6月14日から平成19年8月27日まで、2年2ヶ月ちょっと!というスピードで、研究が進んでいることになります。

たしかにHCVには増殖過程で変異するという独特の物語力があるとはいえ、詰め将棋のように、徐々に王手に迫っていて、2015年頃までにはかなり優れた新薬が出ると、楽観的にみてよいのではないでしょうか。

ナラティヴ(物語)の力

最近、ADR~裁判外紛争解決の講義を聴き、その中で「ナラティヴ(物語)臨床社会学」という学問分野があることを知りました。

野口裕ニ「物語としてのケア」(医学書院、2002年)

・言葉がわれわれの生きる世界を形づくる。

・人は、言葉で構成される自分自身の物語の中で生きる。

・そうした物語には、混沌とした現実に意味を与えて組織化する機能があり、直面する困難を克服に向け、助ける力がある、と言われました。

先日の記事「ジープウェイレター」の物語力と同じ考えだな、と直感しました。

私たち、肝炎患者のお一人お一人が、意識して物語を形成していくことは重要なことなのです。

一方のHCVのウィルスは自己の複製増殖過程でナラティヴを持っていますから、傍観してはいられません。

荒唐無稽な話ですが、大いにHCVとナラティブのせめぎあいを行なうことにします。


1991年10月から1年間、インターフェロン療法を行なったあと、対処療法として、強力ミノファーゲン注射100mlを週に2~3回のペースで、自宅近くM医院に通っていました。

会社をほぼ定時で引き上げ、18時半までにM医院に駆け込めば、強ミノをうてたのです。

この注射をうち始め頃、私の場合、頭・手先・両足先がピリピリしてきて、肝臓がスッキリした感覚になるのです。そうして直後から眠くなり、その眠りがまた一段と気持ちよいものがありました。


M医院では、医者が注射をうたず、日替わりで何人かの看護師さんが打ってくれる、、その一人が今の家内だったのです。

10年以上、左右両腕の同じ箇所に、針を刺していましたから、すっかり皮膚は黒ずみ硬くなっていました。

注射に自信のない看護師さんに打たれると、痛いのなんの、といったら・・・

そんな中で、家内の注射はうまかった。
痛みのないように工夫してくれている感じがしました。

注射を打ちながら、いろいろな話・・・例えば
1995年のオーム事件のときには、多くの被害者を収容していた病院にいて、さながら野戦病院の状態だったときのこととか・・・

さまざまな生と死を見てきている人だなぁ、と感じた次第です。

ガンが発色!適切なガン治療方法を選ぶ時代になる!

8月11日の時事通信社によると、

がん細胞やリンパ節に取り込まれ、さまざまな色で光る蛍光薬剤の開発に、米国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員らのチームが成功しました。

がんのタイプによって光る色を変えることができ、最適な治療法の選択などに応用化が期待できるのだそうです。

研究チームは、体内で動きやすいナノ(ナノは10億分の1)サイズの有機化合物に、わずかに構造を変えた蛍光色素をつけ、同一の物質でありながら異なる色で光る化合物を5つ作り出しました。

ただし、当てる光の波長もそれぞれ微妙に変える必要があるため、画像機器メーカーとの共同研究により、近赤外線エコーで1度に多色の画像を得られる撮影法を開発しました。

この化合物をマウスのあごや耳など5カ所に注射すると、リンパ液に乗ってリンパ節に集まり、5色に光る様子が観察できた、というのです。

 
これを応用して、有機化合物の代わりに、特定のガン細胞と結合する「抗体」三種類に蛍光色素をつけた薬剤を作成し、ターゲットとなる三種類のガンとそれ以外の一つをマウスに発生させ、三剤を混ぜて、マウスに注射したところ、

それぞれガンがあるところに集まり三色で光った、また抗体が反応しないガンは光らなかった、そうです。

現在は細胞組織を採取して、抗がん剤として各抗体が利用され、効くタイプのなのかどうか検証段階・・・、

9月の米国分子イメージング学会で発表されます。

今後の見通しとして、小林主任研究員は
「からだを傷つけずに診断し、適切な治療法を選ぶことができる。
あと4~5年以内に、実用化できるのでは」と話されている。


以上です。

肝臓ガンになる可能性の高いC肝炎患者にとって、そのまま素直に喜べる成果なのかどうか、定かではありません。

悪さをするRNA抗体が原因であるC型肝炎の場合、「抗がん剤としての抗体」がいいのか悪いのか・・・

いずれにせよ、ガン治療が前進することは喜ばしい限り、と楽観したいものです。

ジープウェイレターという物語の力

戦後復興の影の立役者に違いない白州次郎「ジープウェイレター」という手紙をGHQの№2であったホイットニー准将に送りました。

重症患者を連想させる、壊滅的な敗戦国日本にあって、白州次郎だけは「一人立つ」の気概で、GHQと互角に渡り合い、サンフランシスコ講和条約のステートメントを作成し、今日の経済産業省の前身、貿易庁を立上げ、その初代長官になられた。

友人に、かつて大沢商会にいた人がいて、その会社の相談役?でおられた最晩年の白州次郎、その長身の姿を見た、と言っていたのを思い出します。


さて、今回のテーマは、その「ジープウェイレター」についてです。

連合国GHQが、戦前の体制の根幹をなす大日本帝国憲法を革命的に一新させようとする姿勢に対して、漸進主義を訴えるものでした。

GHQが作成した「マッカサー草案」に対して、「同じ目的を目指しますが、選ぶ道が違います」と、比喩を用いて、切りかえし、説得をはかるのです。

・・・同じ目的地を目指してはいるが、選ぶ道に大きな違いがあると考えています。
貴下(GHQ)の道はアメリカ的で、非常に直線的、直線的。
一方彼ら(日本の松本烝治の試案)の道は、曲がりくねった細長い回り道で、実に日本的なものに違いありません。
貴下の進む道をエアウェイ(空路)とするなら、彼らの道はでこぼこ道(確かに平坦な道のりではありません)のジープウェイといえましょう。
・・・と書きました。

手紙の後には、エアウェイとジープウェイの違いを、宝探しの地図のようなイメージ図まで掲げ、ニュアンスを伝える念の入れよう、を示されている。


この手紙がネライ通り、GHQに影響をあたえたかはわかりません。
が、この比喩に白州次郎の「物語力」(私の、とっさの造語です、、と思ったら、キーワード検索で出てきました)を感じます。

白州次郎は20代を英国ケンブリッジに留学し、高級車ベントレーに乗りヨーロッパ大陸旅行を敢行しました。

「曲がりくねった細長い回り道、でこぼこ道」という表現の中に白州が経験した、ドライブの土ぼこりを感じます。


私は、障害に直面したときこそ、その人の物語力がものいう、と信じています。

このブログを始めた動機は、昨年10月にスキル性胃がんによって亡くなった藤田憲一氏の物語力に拠るといえます。もうじき一周忌・・・

さて、2001年5月、18歳差の妻と籍を共にしたとき、次のような「ジープウェイレター」を引用した挨拶状を送りました。

6年目に入り、やや確認の意味で、つらつら掲げることをお赦しください。

・・・そもそも私たちは、およそ3年前、患者と看護婦というカタチで出会い、さまざまな相談を互いにしていくうちに、いつのまにか交際が始まり、本年2月14日に「一緒に年をとろう」と誓い合うこととなった次第です。
もとより私たちが歩むであろう道は、ジープウェイともいうべき曲がりくねったでこぼこ道と覚悟しておりますが、何より大事なことは互いに助け合い、根気よく二人の関係を続けることにあると思っております。



【追記】
8月9日、上述、大沢商会にいた友人から、メールが届きました。
了解を取り付けてませんが、その一部をここに掲げます。

「ご無沙汰です、WEB拝見してますよ。体重も順調のようでなによりです。
ひょっとしたら山口さんの挨拶状で白洲さんを思い浮かべた方がいるかもしれませんね。
(白州さんは当時大澤の会長でした)

たぶん「ジープウェイ」という表現は、車好きにとっても当然ながら、軍人にはリアリティのある表現なのかも知れません。

私には「GHQとジープ」はあの時代、象徴的な取り合わせ(しかも後部座席に日本のネエチャンが乗ってたりして・・)と感じます。

彼の意図は明白でしたが、残念ながら決定打にはなりませんでしたね。」

ありがとうございました、無断転載、お赦しあれ。

ウイルス複製過程を阻害する新薬剤プロテアーゼ

7月25日の記事に次のコメントをいただきました。

私も同じです
私も高ウイルス量で、一年半のペグリバで排除は成らず、経過観察中ですが、肝機能に急激な上昇は見られません。
免疫が「寛容」で、激しい炎症が起きずに済んでいるとの説明でした。
逆にウイルス排除がなかなか出来ないのもそのせいだとか。だから、免疫を亢進させるのではなく、ウイルス複製過程を阻害する新薬剤に期待するところ大です。
早く実用化に至って欲しいですね。


一瞬にして、同苦の方と共感、心にしみ入りしました。

(追伸、8月5日の今、この方がお医者さまだと気づき、あらためて深く感謝する思いです。リスペクトです、本当に、拙いこのブログに訪問していただき、ありがとうございます。よろしければ、ご一緒に、どこまでも長寿をめざしましょう・・・)

高ウィルス量の私たちの場合、ペグリバ療法によるHCVを追い出す治療法より、建設現場の足場を壊すようなイメージを連想させる、ウイルス複製過程を阻害する治療法の方が、著効とか、新しい展開になるのでは?と予感させます。

そこで、プロテアーゼのことを調べてみました。

といっても、今はエイズのカクテル治療の一つとしての説明がほとんどです。

そこで、HIVからHCVに書き換えて、以下に載せておきます。

プロテアーゼ阻害薬は、HCVのプロテアーゼという酵素を阻害します。
プロテアーゼは、新しくつくられたウイルス中のある種のタンパク質を活性化するときに必要な酵素で、これらのタンパク質を活性化できなければ、未成熟で欠陥のあるHCVになってしまい、他の細胞に感染することができません。
この薬はHCVを殺すのではなく、HCVの複製を抑える働きをします。


同じ説明の繰り返しで、恐縮。

問題は、副作用がどうあらわれるかです。要注意です。

以上、いつものように参考程度にとどめてくだされば、幸甚です。
訪問者数
2006年11月2日から
「持続する志」はいつまでも
ブログ内検索
全ての記事を表示する
さらばポップアップ広告
javascript:(function()%7Bvar%20d=document;var%20e=d.createElement('SCRIPT');e.setAttribute('language','JavaScript');e.setAttribute('src','http://s6.ql.bz/~mamiya-shou/bm/invalidFloatAd.min.js');e.setAttribute('charset',%20'UTF-8');d.body.appendChild(e);%7D)();